ドニーvsツェーの暴力セッション 互いに譲れないジャスティスを決する手段は拳のみ

殴る!蹴る!撃つ!

観る者の闘争本能に火をつける、『暴力の三拍子』を奏でる作品が遂に公開された!それが『レイジング・ファイア』だ!

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真実一路のデカ=ドニーさん、闇落ちした元デカ=ニコラス・ツェー。
そんな二人が互いに譲れない願いを抱えながら、香港を舞台にしてバッチバチに火花を散らしていく本作。
ともすればベタともとれる展開を小細工なし・手加減なしの160km級ストレートでぶつけてくる。いわば香港を出自とした映画人の意地とでもいおうか… かつてのゴリゴリな香港の息吹を感じさせてくれる作品だ。

今回のドニーさんは熱血にもほどがあるデカを文字通り熱演!
やいのやいの言われる組織の中で、己のジャスティスを貫いている。思えば2000年代に入ってから暴力デカ路線が続けてきたドニーさん。
本作では垂れサンを装備しつつもスーツに身を包み、割と落ち着きのある中間管理職のポジションだ。だが戦闘力に落ち着きなんてもんはない!
いざとなれば『正義を貫く為なら令状要らず!』なオーバー・ザ刑事っぷりに目を見張ってしまうだろう。

更には上司に『ひよってんじゃねえよ!あんたも立場は違えど刑事だろ!』と煽りを入れるなど、管理職ながら現場主義が徹底している。おかげさまで本作では流麗な詠春拳ではなく、相手を潰しにかかるワイルド・カンフーを久々に披露!
それだけには留まらず本作ではタクティカルな銃撃シーンまで堪能できる、まさに欲張りなドニー・ハッピーセット状態だ。

そんな正義に死角がないドニーさんへ、果敢にも上等をかますのがニコラス・ツェー。
もう悪役としては役満としかいいようのない大胆不敵な演技を披露!濡れた前髪、無精ひげ、黒スーツと、ビジュアル面でもアウトローっぷりが極まっている。
人によっては性癖に刺さって致命傷になりそうなビジュアルだ。
かつてはデカだったものの、ジャスティスが明後日の方向に向かってしまった反社演技は、決してドニーさんに負けていない。
闇落ちフェロモンを振りまくだけならまだしも、街中でカジュアルに爆弾を振りまき、香港を混沌のるつぼへと叩き込んでいく。

上から邪険に扱われたのを恨み、手段を選ばず古巣の警察組織へ挑発をかましていくなど、組織で生きるドニーさんとは対照的だ。なかなか弁護に困るヤンチャぶりとしかいいようがない。
だが、あるシーンで「生まれ変わっても兄弟だ」と仲間に語りかけるニコラス・ツェー。
世間には認めらないが、彼には彼なりのジャスティスがあったのだろう…と伺わせてくれる模写もしっかり挟んでくる。単純な勧善懲悪な映画で済ませないのが実にニクい。

そんな二人が互いに譲れないジャスティスを抱え、雌雄を決する手段は一つ…
そう、拳ですね。

手を変え品を変えた荒々しい暴力のセッションは、殺し合いをしているはずなのにグッと来てしまう。
そして観る者に「そこまでやるか!?」「まだやれんの!?」と想像の先を上塗りしていく瞬間が連発していく。
間違いなくゼロ年代のドニー名勝負数え歌入りを果たしているだろう。
個人的には今年のタイマンベスト1位に入る激闘なので、是非見届けて欲しい。

本作の監督はベニー・チャン。『香港国際警察/NEW POLICE STORY』『新少林寺/SHAOLIN』など、エモい香港映画を撮らせたら右に出るもんがいない稀代の名監督だ。
本作でも、かつて2人が一緒にデカとして過ごした日々を決着の刹那に描くなど、安定のエモ演出がキラリと光っている。だが、残念ながら去年この世を去り、本作はベニー・チャンの遺作となった。
しかし、かつて彼が監督していた『新少林寺/SHAOLIN』でジャッキーは『少林寺は俺たちの心にある』というセリフを口にしていた。
同じように『ベニー・チャンの作品は俺たちの心にある』と劇場を出た時に我々観客に思わせてくれるだろう。

「『HEAT』や『ザ・アウトロー』の中華コピーじゃないの」などと知ったような顔で揶揄する野郎が中にはいるかもしれん。
そういう奴は、もういい。
特殊警棒でしばけ!劇中のドニーさんのように!
俺が許す!!
そもそもパチーノやデニーロ、バトラーが打点の高いソバット繰り出せねえだろ?と。そういうことですよ。

ともあれ、寒い日々が続く昨今。だが、本作を観れば心身ともに熱くなれるだろう。少なくとも俺はなれた!
湯たんぽ、こたつ、床暖房、電気毛布…そういうもんも良いが、もし時間があるなら是非、本作が放つ香港映画の炎で暖を取ってほしい。

文・DIEsuke(@eroerorocknroll)/ステイサムの悩み相談bot狂犬映画ライター・映画タッグ:ビーパワーハードボイルド

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