人が死ぬ『風雲!たけし城』 上司が慢心したがゆえに、現場がドエラい目に遭うムービー

唐突だが、今、孤立無援の状態の人はいるだろうか?  
職場、学校、家庭… 年齢性別問わず、誰もが自分の戦場をもっているもんですが、いくら海千山千のベテランでも、いきなり予想外の戦闘状態に放り込まれればテンパってしまうもんです。

そんな援軍なしのカオスっぷりに目を見張る映画が公開される!それが3月12日(金)に公開された『アウトポスト』だ!

舞台は絶賛戦闘中のアフガニスタン。キーティング前哨基地は、周りが山に覆われた「こんな所に誰が建てろって言ったんだよ!」と、お偉方に思わず陳情したくなるような最悪の立地であった。
駐留する軍人たちからしたら、たまったもんではない。とはいえ、そこはタフガイ揃いの兵士である。おかげさまでタリバンから銃弾を挨拶わりに撃たれながらも、 オーバーキル気味に反撃する日々を送っていた。

だが、ゆるい戦闘状態がダラっと続いているものの、まがりなりにも戦場である。油断したものから死のおみくじを引くおかげで、ブラック企業もかくやの人の入れ替わりが激しい基地であった。

おかげさまで、たまに人が死ぬ寮生活の様相を呈していたキーティング基地であったが、遂にゴネていた地元民と和平が成立。

長かった駐留にも終わりの兆しが見え始める。しかし、『運命の時』は近づいていた。なんと挨拶代わりの銃撃は、実は偵察と基地攻略を兼ねた攻撃だったのだ。そうとも知らずにクニへ帰る予感に胸を躍らせるキーティング基地の面々。

そして、基地の撤退を間近に控えた2009年10月3日。数に物を言わせたタリバン兵300人が基地を包囲!キーティング基地へ怒涛の襲撃を開始するのであった。

「これはいつものイッチョ噛みじゃねえ!」と判断するものの、時すでに遅し。基地の面々は完全に寝首を掻かれてしまう。敵の数300人に対するは、たったの53人。圧倒的に不利な戦闘に放り込まれてしまった彼らは、果たしてサバイバれるのか?

今、キーティング基地は、地獄の一丁目と化すのであった。

史上最悪の戦闘と呼ばれたカムデシュの戦闘を実話ベースで描かれた本作。前半は兵士達の日常と放課後感を描きつつ、ちょくちょく不穏な模写が挟まれるおかげで何とも気が抜けない。そんな前半の溜めがいよいよ炸裂する後半では、誰かが爆風で吹っ飛ばされるか、銃弾で撃たれる修羅場が展開!

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孤立無援の基地籠城戦に目を見張ってしまうだろう。

出演者が驚異の坊主率を誇る中、もっとも渋さを醸し出しているのが中堅軍人=ロメシュを演じるスコット・イーストウッドだ。早いうちから基地の脆弱性を指摘し、良いタイミングで「生き残った奴が正義だ」と呟くなど、最高にイーストウッドしている。

いよいよ始まる基地防衛戦では、口も手も動かすバリバリの現場の人として、頼れるプレイングマネージャーぶりを発揮!普段は偉そうに能書きを語らない野郎ほど、修羅場に強いのを証明してくれる。

クセモノ揃いな基地の面々を纏めるのがオーランド・ブルーム扮するキーティング司令官。彼氏と言えば、『ロード・オブ・ザ・リング』での長髪姿が印象的だったが、本作では掟破りの丸刈り姿を披露!弓矢をM4に持ち替え、中つ国よりややこしい状況のアフガンで地元民と交渉に当たるなど、頼りになる上司っぷりを発揮している。

戦場と化した基地を駆けずり回る新兵タイ・カーターを演じるのはケイレブ・ランドリー・ジョーンズ。若いながら俳優業と音楽業をリアルでもこなしている彼だが、奇しくも本作においても地獄のマルチタスクぶりを披露!
人が死ぬ『風雲!たけし城』のような状況で、弾丸の補給や人命救助の為に体を張っている。銃弾の雨あられを命からがら潜り抜けたものの、「おい!弾の口径が違うじゃねえか!」と言われ、再び引き返す模写など一兵卒への無茶ぶりは、実に身に詰まされてしまうだろう。さんざん地獄の戦場を駆けずり回ったカーターが調査官に己の気持ちを吐露するシーンは、本作での白眉。

こうした近代戦争映画と聞くと「ビバ!アメリカ!」な内容を想起するかもしれんが、戦場のやりきれなさや虚しさを観る者に伝えてくれる。

俺も思わず人事部に陳情するときにモノマネしたくなった。

他にも出演作品がミリタリーづいているメルギブの息子マイロ・ギブソン、ミック・ジャガーの息子ジェームズ・ジャガー、名優リチャード・アッテンボローの孫ウィル・アッテンボローが脇を固めるなど、イーストウッド以外にも二世軍団が地味に勢ぞろいしているのも見逃せないポイントだ。

もちろん全員坊主で!

地味に死亡フラグを立てるおかげで、果たして誰が生き残るのか予想がつかない。彼らの辿る運命を手に汗握って見届けて欲しい。

明日どうなるか分からない閉塞感、日常になってしまったイカれた日々、なしのつぶてな上からの指示、来る気配のない援軍、泥沼になる修羅場…

戦争映画で描かれるシチュエーションは、身の周りの日常にも十分置き換えられる。上が慢心したがゆえに、現場の人間がドエラい目に遭うムービーとしても鑑賞できるのが本作だ。

今まさに現場で戦っている人に寄り添ってくれる作品ですよ。

文・DIEsuke(@eroerorocknroll)/ステイサムの悩み相談bot狂犬映画ライター・映画タッグ:ビーパワーハードボイルド

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