ありのままの自分になるの 八つ当たり&ヒマつぶし感覚の抹殺お礼参り『Mr.ノーバディ』

老若男女問わず、殺しは健康に効く!
そんな志の輔も尻子玉を抜かれる『ためしてガッテンムービー』が現在公開中の『Mr.ノーバディ』だ!

ユニバーサル・ピクチャーズ公式/YouTube

バーサーカーお父さんが覚醒し、オーバーキル気味に大ハッスルする本作。
八つ当たり&ヒマつぶし感覚の抹殺お礼参りに目を見張ってしまうだろう。
奇しくも主人公ハッチが某みなしごのみつばちと同じ名前であるが、こっちは言うなれば針を隠した猛毒のスズメバチである。

「同じような日常を送るのがつまらん!」と愚痴をかます人ほど本当の自分探しと銘打って唐突にアウトドアに目覚めたり、自己啓発の情報商材を押し売りしがちだが、本作のハッチはいくら殴っても問題ない奴をサーチ&デストロイする趣味を見つける。
結果、売られた喧嘩を買うのは分かるが、売られてない喧嘩すら積極的に爆買い!

おかげさまでブン殴られたら「やり返す言い訳が出来た!」といわんばかりにニヤッと笑い、お釣りが出るほどの暴力でお支払いを実行していく。もうやり方がカタギに対するヤクザのソレだ。
ただコッチはヤクザ以上のカタギに偽装したナチュラルボーン殺人マシーンなのだから更にタチが悪い。

ユニバーサル・ピクチャーズ公式/YouTube

『ブレイキングバッド』のスピンオフ『ベター・コール・ソウル』でも知られるボブ・オデンカークが主演しているわけだが、本作の彼を観たら「全然ベターじゃない!呼ぶな!絶対に!ナットベターコールハッチ!!」となるだろう。

怒涛の暴力模写やタクティカル仕草に目が行ってしまうが、家庭に居場所のなかったお父さんが修羅場に存在意義を見出していく流れは、見方を変えればホラーだ。なんなら家族を守るという大義名分すらも自分で作った感すらある。
思えばダークナイトでもジョーカーは札束を燃やして眉一つ動かさなかったが、ハッチも同様。どう考えても手打ちの為に燃やしたというより、相手を煽るために燃やしてるよ!あいつは!

タイトル通り最後までハッキリと何者か分からないが、 色々ヤベエ奴なのは確かだ!と思わせる辺りも出自が不明なジョーカーと共通している。だが、どこか往年のイーストウッドやチャック・ノリスを思わせる「キリっ!」とした渋い表情をオデンカークが見せてくれるので、何となく正義がコッチにあるような錯覚をしてしまう。
これは無茶な交渉事を進める際にも、リアルで真似すれば役に立つ表情だ。
大事!キリッとした渋いドヤ顔!

とはいえモラルは一旦置いといて、ある意味で封印していた自らの力を全開にし、『ありのままの自分』を再発見するアナ雪要素が本作にはある。まあ、こっちはありのままフルオープンなおかげで人が死にまくってるけども!

こんな殺人マシーンの親の顔が見てみたい!と良識ある人なら思うだろうが安心して欲しい。バックトゥザフューチャーのドクで知られるクリスファー・ロイドがハッチの父親としてシレっと出演!
しかし、この親にしてこの子あり。老人ホームでおとなしくしてるかと思いきや、刺客達を難なく瞬殺!
かつては過去や未来にマーティを送っていたが、本作ではロシアンマフィアどもを次々と冥土へ送っていくドク…じゃねえやクリストファー・ロイドなのであった。

更にはダメ押しのようにハッチの兄弟として登場するのがRZA!!
「なぜ!?RZA!」と思ってるコッチを尻目に、ラッパーとしての本業をド忘れした突撃スナイパーぶりを披露!最後は実家で鍋パをする感覚で殺パ(殺戮パーティ)を家族全員で決行するのであった。
またまたモラルを一旦置いといて、バラバラだった家族が殺しで一つになっていく意味でも、家族の絆を描いているといえなくはない。
まあ、やっぱり人は死にまくってるけどな(2回目)!

YouTube

キレられたらキレ返すムービーは世に数多あるが、キレる理由を自ら作りに行く逆ギレムービーとしても実に斬新な作品だ。
養命酒!にんにく卵黄!皇潤!が健康の秘訣三大神器として挙げられるが、本作を観ればそこに「生の暴力!」をカットインさせたくなるだろう。
コチラのサイトを訪問している方の中にも、現在進行形で自分を見失っている元殺人マシーンがいるであろう。
そんな方にこそ、是非劇場で楽しんでほしい作品ですよ。

文・DIEsuke(@eroerorocknroll)/ステイサムの悩み相談bot狂犬映画ライター・映画タッグ:ビーパワーハードボイルド

©2021 Universal Pictures

TAGS