人間ドラマが薄い? 2大怪獣が喧嘩してたら会議なんてする暇はねえ『ゴジラvsコング』

とある田舎でブイブイ言わせてた番長。そんな彼が鑑別所からシャバに出た道すがら、タイミングが悪いことに地回りの組長に因縁をつけられた。
挨拶なし、なんなら寝ぼけた番長の態度も手伝って「礼儀がなってねえなあ!」と仁義を重んじる組長の癇に障ったのだろう。しかもタイミングが悪いことに組長は自らの肖像権のミカジメを回収している最中だったので、機嫌がアホほど悪かった。

とはいえ、こっちも男の看板を背負った番長だ。間違ってもヤクザの風下に立つわけにはいかない。
「喧嘩上等!」と挨拶代わりに全力の右ストレートを見舞う番長!モロに食らった組長もアントニオ猪木ばりに闘魂ビンタを張り返す!

一触即発の小競り合いはあったものの、その場をやり過ごした番長はなんやかんや実家に帰宅。久しぶりの帰省なのも手伝い、ソファーでチルしているのも束の間、何と家の屋根を何者かにブチ抜かれてしまう!
「おいおい何事だよ!」と見上げると、そこには因縁をつけてきた例の組長が‼︎
「あ!あのヤー公!因縁つけるだけならまだしも、実家の屋根をブチ破りやがって!今度という今度は許さねえ!」と番長は自宅にある伝家の宝刀を片手にお礼参りを即決するのだった。

…以上、「いきなり反社の話じゃねえか!」と言われるかもしれんが、何言ってんの!これが『ゴジラvsコング』のあらすじですよ!
「どんなあらすじだよ!実家の屋根ブチ抜かれるって!?」と言われるかもしれんが、いや、マジなんだって!!なんなら、俺も信じられねえよ!
…という訳で、色々アウトな文章を書き連ねたが7月2日(金)遂に『ゴジラvsコング』が公開された。

怪獣組長=ゴジラと怪獣番長=コング。
誰もが知ってるであろう二匹による、地球最大のオス比べタイマンが描かれる本作。もう怪獣プロレスなんて言葉は生ぬるい。凶器、飛び道具…何でもあり!くんづほぐれつなノールール・怪獣バーリトゥードの様相を呈している。牙を剥き出しにした野性味溢れるファイトっぷりに目を見張ってしまうだろう。

東宝MOVIEチャンネル/YouTube

今回、開幕早々シリーズでも観たことないほどに終始キレっぱなしのゴジラ。
まるで「土日明けに出勤する俺か!?」と言わんばかりに機嫌が悪い。今まで物分かりの良さに定評のあるゴジラであったが、人間にもコングにもスパルタな姿勢で落とし前を要求!
思えば前作『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』で人間と怪獣の双方から頭を下げられていたが、本作ではノー挨拶・ノーリスペクトの輩にはメッチャ厳しい態度で臨んでいる。

なにせ今回は本人(ゴジラ)に無許可で肖像権を人類に侵害されたのもあり、往年のビートたけしばりに一人フライデー襲撃モードだ。

そして皆さん、思い出してほしい。
前作において自宅でグッスリ休んでたところをケンちゃん(渡辺謙)に爆破された実績が過去にあったのを。こう色々とゴジラを舐めてきたツケが積み重ねっては、人類に対してキレるな!というのも無理筋な話だ。
本作の荒ぶったゴジラが披露する怪獣任侠道も大きな見所の一つである。
躊躇なしに人を吹っ飛ばす姿は改めて「怒らせたらヤベエ奴」と俺たちに教えてくれる。

Warner Bros. Entertainment/YouTube

そんな彼に対するが、かつて腕っぷし一つで島を制覇した怪獣番長コングだ。
今回は怪獣鑑別所の独房にて長年懲役を食らっていたのが伺えるが、いざ喧嘩となればブランクを感じさせない闘争本能をフルで発揮!放射火炎というチャカをもったヤクザ(ゴジラ)相手に、実家の凶器(ゴリラ・トマホーク)片手に喧嘩を挑む。
どうやら以前住んでいた髑髏島は仮ぐらしだったらしく、まさかの実家への帰省などコングのパーソナルな部分も描いている。今、まさに自分探しをしている人、この御時世のおかげで実家に帰りたくても帰れない人にも響くのではないだろうか。

更に幼女の願いに応え、修羅場の質と量では上を行くゴジラ相手にタイマンを挑むコングの姿は、スタローンのロッキー第一作を彷彿とさせてくれる。
例え何度倒れても挑み続けるコングのネバーギブアップ精神から、我々人類も見習うところは多い。
いや、人間とデッカいゴリラじゃ違うだろ!と言わるかもしれんが、我々も同じ霊長類ですからね!俺たちは分かり合えるはずだ!それこそ劇中の幼女とコングのように!

どうやら国産の『シン・ゴジラ』『ゴジラ S.P』に比べて、やれ人間ドラマが薄いとか脚本がヒドいと言われている様だが、ちょっと待ってくれ。冷静に考えて欲しい。
なにせ規格外の怪獣ゴジラとコングの二匹が暴れまわってるのだ。そこら辺を。しかも現在進行形で。そんな時、果たして我々人類は合理的に行動出来るだろうか?おそらく本作に登場する人類のように右往左往するしかない。
少なくとも悠長に会議なんてする暇はねえ!役所仕事じゃ終わるぞ!世界が!と。

俺自身もリアルでは「もう現場のアドリブで何とかするしかないじゃない!!」というヤケクソな瞬間が何度もあった。基本的に「屁理屈ばかりの意識高い会議は寝る!全力で!」がモットーなせいか、本作の人間ドラマが妙に身近に思えたのだった。
それこそ某ウィルスで人類が右往左往してる今の世の中と比べて、本作のガバガバと言われるヤケクソな人間ドラマを笑えないだろう。
ある意味で超リアル!だ。俺の中で!

そして人間パートで言及しておきたいのが、本作に登場する複合企業APEXの社長である。
ともすれば「何故作っちゃったのよ!?アレを!」と思われるかもしれん。
俺も貧乏人なりに劇中の社長の身になって5秒ほど考えてみたが、女、車、自家用ジェット、豪邸…そういうもんに囲まれた生活を送っていたと仮定したら、まあ次はアレしかないよな!と個人的に合点が行ったのだった。
まさに社長の金の使い方としては理想的ではなかろうか?ロケットに乗って月に行きたいなんて言う起業家もいる世の中だが、アレに身銭を切った社長は見果てぬドリームに溢れているよ!
これから俺が金持ちになる可能性はゼロどころかマイナスだろうが、この社長のノリの良さは是非見習いたい。

日本からは前作のケンちゃんに代わり、演技派で知られる若手俳優=小栗旬が出演!そんな彼が披露する迫真のガンギマリ白目演技の迫力は、ゴジラやコングに負けていない。
高度なCGが駆使されまくる作品において、最低限の電流ビリビリCGだけで白目を剥く小栗旬の存在は観る者に言い知れぬインパクトを残してくれる。
シリーズで何もしてないのに何かした感のある演技を披露し、最終的には核の闘魂ビンタを繰り出したケンちゃんの息子という設定らしいが、親父に決して負けていないぞ!と応援したくなった。
まあ劇中では息子設定全然触れられてなかったけども!ハリウッドの胸を貸す気ゼロな容赦のない洗礼ともとれるが、色んな意味で小栗旬は爪痕は残したのじゃなかろうか?

怪獣も人間も『喧嘩上等精神』に満ちているわけだが、本作は映画というより格闘技の試合を観る感覚に近い。作品のベクトルを喧嘩に振り切り、頭でなく本能に訴えてくる作風だ。
マトモな映画ファンや特撮ファンからすれば賛否両論になるのも理解できない話ではないが、このジャンルで毎回気の利いた話されてもねえ・・・ ぶっちゃけ疲れるのでコレはコレで正しい姿勢の一つなのではないだろうか。

いずれにせよ百聞は一見に如かず。それこそ一般人だ、オタクだ、ストリート系だのといった面倒な垣根は本作にはない。日米を代表する二大怪獣の勝負の行方を、是非劇場で見届けて欲しい。

文・DIEsuke(@eroerorocknroll)/ステイサムの悩み相談bot狂犬映画ライター・映画タッグ:ビーパワーハードボイルド

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