ニコラス・ケイジの狂った演技が狂った物語にブーストをかける 人間の想像や理屈が一切通用しないSF毒電波ホラー

作品の規模や質を問わず、ブレーキ知らずの演技で存在感を残す男=ニコラス・ケイジ。

クセのある…ていうかクセしかない彼氏の最新作が遂に公開された!

それが『カラー・アウト・オブ・スペース―遭遇―』だ!

北の国からの田中邦衛的なノリで田舎に越してきたニコラス・ケイジ扮するネイサン・ガードナー。デイトレーダーの奥様、ゴスっ子の長女、ハッパを吸うボンクラ気味の長男、メガネの次男という家族に囲まれ幸せに暮らすネイサンであったが、ある日庭先にジョジョの単行本以上に紫色の光を発する隕石が落下!

超低速モードになるwifiを皮切りに、生活用水が汚染され、植えた覚えのない花が咲き、作物は異常繁殖。ダメ押しのように次男が井戸にいる誰かと話し出す…など、隕石落下をきっかけにネイサン一家の周辺が徐々に狂いだしていく。
だが、それは家族を襲う恐怖と狂気のイントロでしかなかったのであった…というのが主なあらすじだ。

マンディ〜怒りのデスロード〜」の製作陣、怪奇小説の大家HPラヴクラフト、そしてニコラスケイジという盤石な布陣の本作。

正体も目的も形すらも分からない宇宙から来た存在が、家族の絆や夫婦の愛をガン無視して日常を徐々にブッ壊していく様を描いていく。

そもそも攻撃の意思すらあるのか無いのか分からないという…  

愛は地球を救うかもしれんが、宇宙のブツには「そんなもん知るか!」状態。  

ETみたいに物分かりが良ければ…と思わず遠い目になってしまう。

人間の想像や理屈は一切通用しないSF毒電波ホラーである。

おかげさまで壊れた家族の日常を認められずに狂っていくニコラス・ケイジ。

本作では異常に成長したトマトを丸かじり「まずい!」とゴミ箱に次々とダンクしまくる、明らかに異常が起きているにも関わらず「ちゃんとアルパカの面倒を見ろ!」とブチキレるなど、安定の電波演技を披露!

トチ狂った演技がトチ狂ったストーリーにブーストを掛けてくれている。

視覚、聴覚、味覚、触覚、嗅覚という五感が狂わされる導入から始まり、ラストは観る者を異次元にブッ飛ばす超展開に目を見張ってしまうだろう。

最初はJホラーのような薄暗さだが、登場人物の狂気が加速するにつれ、毒々しい色が画面に溢れていく。

理解の外にあるものにはもんほど恐ろしいもんは無い。  

例えば、理由があって殴られるのは理解できるが、身に覚えがないにもかかわらずブン殴られたら、どうだろう?

あるいは、いわくつきの場所に発生する怪異があるより、なんのいわくもない場所に発生する怪異のが恐ろしいのではないだろうか。

俺も、いきなり何の前触れもなく、いきなり別れを告げられた経験が(深夜のファミレスとか喫茶店とかで)何度もあるのだが、あれも宇宙からの何かしらの影響を受けていたのかもしれん。

・・・そうか!それは違うか!俺のせいか!

ともあれ、どんな行動にも人間は安心するために理由を求めてしまいがちだが、本作を見ると理不尽なもんほど恐ろしいもんは無いのがよく分かる。

かつて長州力が破壊王・故橋本真也の元へ殴りこみ、「何がしたいんだ!コラ!」とキレまくり、結果、互いにコラコラと罵り合い、何も答えが出ないままタクシーで帰ったコラコラ問答という事件(?)があった。

見る側も途方に暮れるしかないやりとりであったが、本作も互いのコミュニケーションが断絶された宇宙レベルのコラコラ問答が描かれている。

ここまで書いといて、果たして本作の怖さを伝えられたのかサッパリだが、このクソ暑い夏にウンザリしている人もいるだろう。

そんな人こそ、是非劇場に駆けつけて震えあがってほしい作品です。

文・DIEsuke(@eroerorocknroll)/ステイサムの悩み相談bot狂犬映画ライター・映画タッグ:ビーパワーハードボイルド

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