ヴァン・ダム最新作は「全国1館、1週間限定、1日1回」激レア上映 悲哀度ならジョーカーに負けない渾身作

俳優ジャン=クロード・ヴァン・ダム。
本名ジャン=クロード・カミーユ・フランソワ・ヴァン・ヴァレンバーグ。

どうですか?長いでしょう?本名が!
まあ、それは別にどうでも良いんです。

ただ書きたかっただけだ!俺が!

そんな本名が長いヴァンダムの最新作『ザ・バウンサー』が遂に公開された!

全国一館!一週間限定!一日一回で!

たけえよ、見に行くハードルが!

…と言いたくなるが、正直、無理もない話であった。

もちろん、職に貴賤が無いように、映画にも貴賤はない。

だが、10本に1本が当たりという、ソシャゲのガチャのような状況に最近のヴァンダム主演作品が軒並み陥っていたのは、ファンとしても否定出来ない事実だ。

調教済みのファンの俺ですら、開脚キック、ラブシーン、尻という、ヴァンダム三拍子を見れれば元を取れたなあ!と無理矢理言い聞かせていたフシがある。

こちらとしても黙って頷くしかない上映スケジュールでもあった。

むしろ、WECワールド・エクストリーム・シネマの一環として上映されるだけでもファンとしては大変ありがたい話だ。

…という訳で、ヴァンダム作品となると、もはや知り合いのバンドのライブに行く位の義理で見てる感が正直あったのだが、公開されたザ・バウンサーの予告編は一味違った。

Klockworx VOD/YouTube

画面から滲み出る哀愁、ストイックさ、ダークな雰囲気。

言うなれば、いつものヴァンダム三拍子の押し売りを感じさせない予告編であった。

こうして「これは…見に行かなければ!」と、ハロウィンで浮かれる渋谷の陽キャを尻目に、劇中のヴァンダムのような死んだ目で劇場へ駆けつけたのであった。

訳ありの子連れヴァンダムの危険なアルバイト=それは闇社会への潜入だった!というのが主なあらすじの本作。

このあらすじを聞くと、いつなんどき開脚キックしても不思議ではないが、ヴァンダム三拍子は完全に封印。

夜は飲み屋で用心棒として働き、昼は娘を学校にバスで送り迎え。
携帯には娘の電話番号のみ登録。
だが夜職だけでは、どうにも娘の学費を存分に払えない。
自家用車なんてもんはないので、移動は常にバスだ。
お天道様に顔向けしづらいのもあってか、パーカーのフードを常に被り、目が死んでいる。
ストリートに生きる子連れのストイックさと切実さが痛いほど伝わる、ヴァンダムの演技は必見だ。

腕っぷしも無敵というわけではなく、ステゴロとなれば息を切らせ、血を流す。
結果的に警察に弱みを握られ、何より唯一の肉親である娘を守る為に己の意思に反して闇社会へ落ちていくヴァンダム。

もう地下にあるサンドバッグを一心不乱に叩くしか憂さを晴らす手段しかないのであった。

どうだろう?

これに泣かずにいられるか!

まさに愛と哀しみのストリート系シリアス・ヴァンダム映画である。

最近では『ジョーカー』が公開され、「俺はジョーカー側の人間だ!」と、のたまう人がいたが、人生の悲哀度では『ザ・バウンサー』も負けてはいない。

何なら「俺はヴァンダム側の人間だ!」と言いたくなる。

ていうか、ジョーカーにはスクリーンで何時でも会えるが、ヴァンダムは一週間限定だぞ!という俺の気持ちを分かって頂けるだろうか?

分からないか!そうか!

それはそれとして、Amazonプライム限定ドラマ『ジャン・クロード・ヴァン・ジョンソン』、映画『その男、ヴァンダム』で落ち目ゆえの哀愁を自虐的に描き、見ているコチラの笑いを取りに来たヴァンダムだが『ザ・バウンサー』ではシリアス演技に全振り。

遂に今までの哀愁演技がコメディ以外で結実した映画にファンなら目頭が熱くなるだろう。刻まれた皺と死んだ目が、日陰でしか生きられない本作の役柄に説得力を与えている。

中にはヴァンダムという俳優を半笑いで片付ける、心ない人もいるであろう。確かに映画史的にヴァンダムという俳優が語られる機会は今後皆無かもしれん。

しかし、『東に竹内力、哀川翔がいれば、西にはセガール、ヴァンダムあり』と、レンタル屋の準新作Vシネコーナーを人知れず支えてきた実績を忘れてはいけない。

思えば、親の顔より見たであろうヴァンダムの開脚キック。
例えメジャーから無視されようが、少なくとも俺の土日のヒマな時間(主に深夜)に付き合ってくれた恩が、ヴァンダムにはある。

そんな彼氏が、『ヴァンダムを笑うものはヴァンダムに泣く!』と観るものに教訓を叩きつけてくるのが、『ザ・バウンサー』だ。
見た目の派手さはないが、観るもののハートに開脚キックを極めてくれるだろう。

再三言っているかもしれんが、こちらのサイトは渋谷系カルチャーのサイトである。読者の方も筋金入りのストリート系が殆どであろう。

だが、本作を見ればパーカーのフードを深めに被り、陽キャを尻目に街を黙って歩くのが真のストリート系…つまりヴァンダム系だと気づくことでしょう。

そんな事実を奇しくも、実写版ガイルを演じたヴァンダムが本作で教えてくれる。

さすがストリートファイターである。

そもそも渋谷に行けねえよ!という全国のストリート系(あるいはヴァンダム系)の方もいるかもしれんが、安心して欲しい。

なんと『ザ・バウンサー』のDVDは12月4日には発売される!

早いなあ、おい!

ともあれ、今まで自信をもって他人にオススメするにはクセがありすぎた昨今のヴァンダム作品。というのも、ヴァンダムの存在感に対して、作品の規模が追い付いてない感があったが、本作は違う。

是非1枚は自分用、もう1枚は親しい人にお歳暮用として購入したい珠玉のヴァンダム作品ですよ。

文・DIEsuke(@eroerorocknroll)/ステイサムの悩み相談bot狂犬映画ライター・映画タッグ:ビーパワーハードボイルド

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