全国3館のみ上映 社畜やキレた男達に贈る“新橋ガード下”暴力映画

やってられるか!こんな仕事!

日々、このセリフを心でシャウトしている方はいるだろうか?

ちなみに俺はシャウトしている!毎日!心の中で!

そんな俺のように煮詰まった生活を送る方にオススメな「やってられるか!こんな仕事!」映画が、8/28(金)に公開された!

それが『ブルータル・ジャスティス』だ!

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現場一筋の刑事コンビ=ブレット(メル・ギブソン)とトニー(ヴィンス・ボーン)。

犯罪者に対し「バカは死ななきゃ治らない」を地で行く、刑事という名のバカハンターであった。

今日も今日とてガサ入れを行い逮捕に成功する二人であったが、コンプラ無視のゴリゴリ捜査が災いし、停職という憂き目に遭ってしまう。絶賛停職中となり「これじゃあオマンマの食い上げだ!」とブチ上げる二人。

…というのも、ブレットは難病の嫁と娘を抱えながら治安最悪の場所に住まざるおえない切実な事情を抱えていたのだ。一方のトニーも、バリキャリの婚約者がいるものの、犯罪者相手の刑事という不安定な職の為、プロポーズに踏み切れないでいた。

結果は出してるのに猛烈な安月給。

だが生粋のアウトローっぷりが災いして自身の昇進や昇給は、ほとんど見込めない。

しまいには、かつての出世した同僚にイヤミなんか言われて停職まで食らう、この理不尽コンボ。舐めるなよ!と思うのは無理のない話であった。

おかげさまで「やってられるか!こんな仕事!」モードに突入!

こうなりゃ、後腐れのない犯罪者からカツアゲするしかねえ!と決意した二人は、最近街にやってきたヨソモンの犯罪者ヴォーゲルマンに目をつける。停職中の身とはいえ、刑事の流儀をフル活用。バッジなしの非合法捜査を開始する二人であったが、事態は斜め上の方向に向かっていくのだった…

ハリウッドの「あぶない刑事」こと「リーサルウェポン」でブイブイ言わせたメル・ギブソンが再び刑事役と聞くと、「ハハア・・・さてはド派手な銃撃戦がバンバン炸裂するんだろうな・・・」

こんな作風を想像してしまう人も中にはいるかもしれない。だが、本作は安易な方向には走らない。
尾行!張り込み!監視!たまにメシ(車内で)!と実に地味極まりない。言い換えれば、観客に媚びないゲキ渋な作風だ。
むしろ、そうした淡々としたタメがあるからこそ、随所で唐突的に炸裂する暴力模写がキラリと光っている。初期の黒澤清か北野武の映画を彷彿とさせる暴力模写に、思わず「え!?マジで!?」と二度見してしまうだろう。

少なくとも俺はした!   

また肝心の銃撃戦も映画的な派手さより、ジリジリと間合いを詰める命のやり取りを優先してジックリ描いている。

巷で公開されるビッグバジェットの映画が赤坂の高級BARとするならば、本作は新橋のガード下にある立ち飲み屋とでもいおうか…

まさに煮詰まった男達による新橋映画の様相を呈している本作。

主演は、年を取るほどマッドさに拍車がかかる俳優=メル・ギブソン。本作にて、仕事は確かだが警察署内ではハシゴを外されたアウトロー刑事を好演。
奇しくも、自身の問題行動の役満(DV、飲酒運転、暴言)でメインストリームの俳優業を干され気味になったものの、中規模の作品で主演を務め続け、自身の監督作は安定して評価されているメル・ギブソンだ。

本作で演じるブレットは「もう本人じゃん!」と言いたくなってしまうほど、現実の彼氏とオーバーラップしてしまう。

あるいは、社内の政治はガン無視、出世街道とは無縁、仕事も煮詰まってて、貯金もゼロに等しい…そんな万年平社員の身(俺とか)からすれば、「気持ちはわかるぞ!痛いほど!」と言いたくなるキャラクターだ。

思わず本作のメル・ギブソンに一杯奢りたくなった。

相棒のトニーを演じるヴィンス・ボーンも「仕事で楽しいのは定時が来た時かメシ食ってる時だけ」という、勤め人なら全力で頷かざるおえない名言を放つ。

そしてヤケクソ殴り込み計画を聞き「おいおい、大丈夫かよ」と一旦苦言を呈しつつ、切実なメルギブの身を案じたのだろう。
「まあいいや!やるか!」としのごの言わずに乗り気になる漢気を披露!相棒同士に余計な言葉など要らないを地で行く、この模写。これ位、やりとりがタイトな男でありたいものだ。

このようにポスターにもデッカく描かれた二人に目がいってしまうが、彼らとは別に犯罪の片棒を担ぐ黒人コンビの行方も見逃せない。
ブレット同様、切実な家庭状況を抱えるムショからシャバに出たばかりの黒人青年、そんな彼を計画に誘うマブダチ=マイケルJホワイト(!?)という、刑事コンビとは対照的にサグい2人。

ともすればマイケルJホワイトの持ち腐れと思われるかもしれんが、リアルでは黒帯マスターと呼ばれる彼ですら武術を全く活かす機会がない意味でも、誰が死ぬか分からない情け無用の世界観が徹底されているのが窺える。

…ていうか、ダークナイト、キルビル然り、マイケルJホワイトが死ぬ映画は巷の評価が高いのは何故なんだ!

えー、取り乱しました、話を戻そう。

本作の監督は『暴力の伝道師』という物騒な肩書を持つ、S・クライグ・ザラー。本作以前にも「トマホークVSガンマン」にてホラーと西部劇、「デンジャラスプリズン牢獄の処刑人」にてムショ映画という、信頼できるフィルモグラフィを持つ監督だ。
今までクセの強いジャンルを撮りつつ、一貫して乾いた作風と低音の暴力模写を貫いてきた。本作においても彼の作家性は健在。

作中、やたら各登場人物の靴音が響くのだが、都会の冷たさを『ビジュアル』だけでなく『音』でも観る者に伝えてくれる。更には監督自身が本作のスコアのほとんどを作曲しているのだが、どれもゴキゲンなナンバーなので必聴だ。

特にエンディングで流れるO´JAYSの『shot gun safari』は特に中毒性の高いナンバーなのだが、思わず彼の描く映画の世界観とのギャップに驚くだろう。

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現状、全国3館でしか上映していないのが中々に鑑賞のハードルを高くしている本作。

誰にでもオススメできるかと言われたら俺も「さあ・・・」としかいいようがないが、例えば仕事に煮詰まった午前1時。

ヤケクソになれたら、どれだけ楽だろう…。

そんな時、折に触れて観たくなる映画ですよ。

文・DIEsuke(@eroerorocknroll)/ステイサムの悩み相談bot狂犬映画ライター・映画タッグ:ビーパワーハードボイルド

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