“ゾンビを殺ってベガスへ行こう” 死亡リスク上等!反社だらけのカチコミ部隊『アーミー・オブ・ザ・デッド』

三度の飯よりゾンビが好き!
…という食い道楽の皆さんに「へい!おまち!」と言いたくなる映画が配信された。それがNetflixの『アーミー・オブ・ザ・デッド』だ!

Netflix Japan/YouTube

ある日、軍に秘匿されていた身体能力抜群のオーバー・ザ・ゾンビが事故により脱走!気がついたら毎日がゾンビフェス状態となってしまったラスベガス。軍人や警察が総出で殲滅に当たったものの、奮闘虚しく焼石に水状態であった。
どうにもならなかった結果、政府は一時的にベガスを完全封鎖。人間たちを尻目にゾンビたちは自らの王国を築き、ラスベガスは立ち入り禁止の陸の孤島と化していた。とはいえ、いくら自由の国アメリカといえど、このままゾンビを放置するほどフリーダムではない。
「面倒くさくなったら即核弾頭!」という映画のアメリカあるあるに則り、ゾンビの一掃を返す刀で決定するのであった。

一方、かつてゾンビだらけのベガスで住民避難&封鎖という難易度の高い作戦を成功させた傭兵のスコット(デイブ・バウティスタ)であったが、それも今は昔。今ではバーガー屋のバイトに身をやつし、大仕事をこなした割にくすぶった日々を送っていた。

そんな彼の下に、怪しさ満点の大富豪が訪ねてくる。
彼の名はブライ田中(真田広之)。
真昼間から職場に真田広之が来たらタダ事ではないと誰もが思うところであるが、その予想は果たして当たっていた。

曰く、ゾンビがひしめくベガスのカジノに眠る大金を奪取してくれ!と。無茶ぶりにもほどがある話であったが、このままパテを焼いて人生を終わらせるわけにはいかない!

そして今の境遇に不満があるのは、かつてのスコットの仲間たちも同じであった。成功すれば大金持ち、失敗すればゾンビの仲間入り。マトモな奴じゃ、この提案には乗らない。

…という訳で、かつての仲間に加え、倍プッシュでファンキーなメンツがスコットの下へ集結!こうしてドリームジャンボな金を掴むべく、明日なき野郎どもの一攫千金ツアーが始まるのであった。

景気よく人間及びゾンビが死んでいく本作。
カジュアルに頭が吹き飛び、噴水のように血が噴き出す展開に目を見張ってしまうだろう。
終末を描いたゾンビ作品だと倫理観の崩壊が描かれるが、本作のキャラ達は既に倫理観がブッ飛んでるので話が早い。
おかげさまでゾンビを使った不謹慎トラップギャグ、ちょっとムカつく奴を生贄にするなど、人としてどうかと思うが映画としては正解な行動を躊躇なしで選択していく。

そんな「ゾンビを殺ってベガスへ行こう!」と上等をかますカチコミ部隊のメンバーだが、見事なまでに反社揃い。
圧倒的な肉弾リーダー=スコットを筆頭に、戦うボランティアなスコットの娘、スコットと修羅場を超えたタフな女兵士、ゾンビにタイマンを挑む丸ノコ黒人、鍵フェチの金庫破り、ファンキーなヘリおばさん、殺戮YouTuberカップル、地獄のベガスツアーコンダクター、裏切りそうな予感が満点な田中の部下…と、天井知らずのナイス害(ガイ)どもがゾロゾロ集結!

基本的に全員が死ぬリスクがあろうとも「OK!」といわんばかりに即答するノリの良さが痺れる。そんな奴らがゾンビだらけの死地へと赴くのだ。ワクワクするなというのが無理な話だ。

濃すぎるメンツのおかげで、生半可な役者が演じればキャラが薄まりそうなリーダー役だが、何せ演じるは常人より肉密度が高いデイブ・バウティスタだ。
ゴリゴリのガタイのオーナーにも関わらず、本作ではゾンビ相手に俊敏なタクティカル仕草を披露!仲間や娘の危機となれば戦闘力にブーストが掛かる、頼れるリーダーを演じている。

もちろんゾンビ側もキャラ立ちとノリの良さでは負けていない。思えば『ドーン・オブ・ザ・デッド』でゾンビ・イノベーションを起こした監督のザック・スナイダーだが、本作でもアグレッシブなゾンビが飛んだり跳ねたりと大ハッスル!何なら、生前より元気いっぱいだ!

それだけに飽き足らずゾンビキング、ゾンビクイーン、ゾンビタイガー、ゾンビホース、乾燥わかめゾンビと、他人に説明したらシャブの陽性反応を疑われるようなキャラが続々と登場している。

更にはダメ押しのように、本作では人間との拳のタイマンまで披露!言葉が通じないなら、語り合う手段は一つ…そう!拳ですね! と観る者へ教えてくれる。
まさかのゾンビが!!このザック・スナイダーのパワープレイっぷりはどうだ!?

ゾンビ映画というと、どこか閉塞感や諦観に満ちているダウナーな作品が比較的多いが、本作は違う。人間側もゾンビ側もレッドブルを静脈に注射したようにエネルギッシュだ。
清々しいまでにスナイダー印の脳筋精神が作品内でスパーキングしている。

俺も社会のゾンビとして死んだ目で仕事しているわけですが、なんだか本作の活きの良いゾンビに喝を入れられたのは言うまでもない。ノロノロすんな!走れ!タイマンを張れ!と。

雨後の竹のように数々作られてきたゾンビ映画というジャンル。
かつて『わんぱくでもいい。たくましく育ってほしい』という丸大食品のCMで流れていたが、本作を観ると『走ってもいい。なんなら王国を作ってもいい。たくましくゾンビ映画を作ってほしい』と、これからのゾンビ映画が持つ可能性に思いを馳せてしまう作品ですよ。

文・DIEsuke(@eroerorocknroll)/ステイサムの悩み相談bot狂犬映画ライター・映画タッグ:ビーパワーハードボイルド

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