賛否上等!007はマンネリと舐めてる人こそ必見 製作側の気合を感じる『ノー・タイム・トゥ・ダイ』

待ちも待ったり、約1年半!
遂に『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』が公開された!

ボンドが仕事を辞める・辞めないで右往左往していたのと同様、上映する・しないで劇場公開が延期されていたが、いよいよここ日本でお披露目!
ダニエル・クレイグ版ボンドの卒業式ということで、クローゼットで防カビしていたタキシードを取り出した00ナンバー(自称)も中にはいるのではないだろうか?
かくいう俺も00ナンバー(自称)なのだがタキシードを持ってないのよ!!
ということで、今回はレビューという形で彼の卒業を祝いたい。多分本人にはメッチャ迷惑がられると思うけどな!!

ユニバーサル・ピクチャーズ公式/YouTube

前作「スペクター」にて、過去のアレコレを精算し、恋人マドレーヌとの新たな生きる道を見つけた007ことジェームズ・ボンド。
ようやっと辞めたいと思っていた諜報機関MI6を退職し、二人で念願のイチャコラ旅行に勤しんでいた。完全にスパイ稼業へ見切りをつけたように見えたボンドであったが、そうは問屋が…ていうかスペクターが卸さなかった。

「いよいよ俺も身を固めるか…」と、かつて愛したヴェスパーの墓の前でシンミリしていた彼だったが、なんといきなり墓が爆発!
退職早々、ダイナミック墓参りを皮切りにスペクター・ロスタイム戦がスタートしてしまう。なんとボンドへの嫌がらせが生きがいのスペクター首領プロフェルドは、自身がムショに囚われてからもシャバに罠を仕掛けていたのだ。

「全然精算出来てなかった!」と反省するヒマすらなく、盗んだバイクでローマの街を激走し、更には愛車アストンマーチンで驚異の殺人ドラテクを披露!
なんとか危機を切り抜けたボンドであったが、悪い癖で「おい!スペクター来たのお前のせいなんじゃないの!?」とマドレーヌに八つ当たりするのであった。若干思い当たるフシもなくにはないものの、「いや、知らんがな!マジで!!」とやり返すマドレーヌ。

おかげさまで命の危機を切り抜けたものの、コラコラ問答が勃発!結果、大学生カップルの温泉旅行ばりに口喧嘩からの破局を迎えてしまうのであった。

おかげさまで結局独身貴族になってしまうが、それはそれとして南の島で悠々自適なロハス生活を満喫するボンド。
そんな彼を親友であるCIA局員のフェリックス・ライターが訪ねてくる。
曰く、謎の組織に誘拐された生物兵器の科学者を救ってほしい、と。心底めんど臭そうな塩対応をカマすボンドであったが、とはいえ知らん仲でもない友人のお願いだ。

何せヒマなのも手伝い、このアルバイトを引き受けるボンドであったが、話はそう単純ではなかった。ボンドも「え!?聞いてないよ!?」となる展開が連発!


話が進むにつれ、どうやらMI6、因縁あるスペクター、謎の第三勢力、そして恋人のマドレーヌが抱える秘密も今回の件に絡んでいるのが判明していく。
バイト感覚から一転、押しかけ本気モードで復職を決意するボンド。
こうして「死んでる場合じゃねえぞ!おい!(ノー・タイム・トゥ・ダイ)」な戦いの火ぶたが切って落とされるのであった。

無敵なだけじゃない『スパイはつらいよ』な一代記を描いてきたが、本作にて遂に最終章!悲恋、復讐、身内問題、辞めたくても辞められない仕事… 思えばシリーズ通してボンドのパーソナルな部分を描いてきたのがクレイグ版ボンドの特徴だ。

以前のボンドシリーズは、一般人が真似したら大ケガ必至のハンサムっぷりで押し通してきたが、クレイグ版ボンドはハンサムそのままに人間臭さも追加トッピング!特にオフなのに仕事へ駆り出される辛さは「俺も分かるぞ!ボンド!」と勝手に身に詰まされていたものである。

最初こそリアル路線であったものの、シリーズが進むにつれヤケクソ度も比例するようにヒートアップ!
人を殺した後にジョーク、どうかと思うほど爆発する時計、武装アストンマーチン、デッカい悪の秘密基地というジャポニカ自由帳的な『007あるある』もブッ込むワガママ仕様へと仕上がった。
冷静に考えれば目を疑うか爆笑するかの超展開もあったが、ある程度シリアスさを担保できたのも、クレイグの真剣な表情と演技があってこその賜物だろう。

お約束のボンドガールは、世の状況を反映して本作では添え物で終わらない。
アナ・デアルマス演じるCIA局員のパロマも散々デストロイした後に「ウチここまでだわ!そんじゃ!」と一次会で速攻帰宅するよう潔いギャルっぷりを披露!
ラシャーナ・リンチ扮する『黒い女007』ことノーミも、ボンド同様『忍びにして忍ばず』精神でサーチ&デストロイ!
クレイグに負けない八面六臂の戦闘マシーンぶりに目を見張ってしまう。

そして、ともすれば反則キワキワな掟破りの逆サソリ的な話の展開は誰も予想できないであろう。俺も劇場で「え!?マジで!?」となった。
ボンドガールの扱いや話の展開含め、「今まで観たことのないもんを見せちゃるけん!」という製作側の気合が本作からは感じられる。
賛否両論まっしぐらな展開かもしれんが、この安パイを引かない勝負師的な姿勢は大作であればあるほどと中々出来るもんではないだろう。

なにせ御長寿シリーズな007である。作品の出来についてファンから色々言われるのも分からなくはない。
とはいえ、個人的には初代コネリー時代から今まで、ぶっちゃけ「気の利いた映画か!?」と聞かれたら「さあ!!」としか言いようがないのが正直的なところだ。

だが、そこがいい。

なんというか、たまに実家へ帰省してメシを食う感覚とでもいおうか。親が作ってくれたメシに「マズいわ!」と言わないじゃないですか。
そういうことですよ!007の鑑賞も!!

まあ俺の勝手な思い入れは一旦置いといて、どこか良い意味で数年おきにマンネリを楽しむ的な意味で観ているフシがあった。
だが本作は『いつもの白米・焼き魚・漬物・味噌汁の定番メニューかとおもいきや、最後に親が手作りマリトッツォを全力で出してきた!』といわんばかりのインパクトをくれた。
なので「いや、マリトッツォは実家じゃ食わねえよ…」という人の気持ちも分かるが、俺は貧乏性なので美味しくいただきましたよ!
ていうか、さっきから映画の話じゃなくメシの話ばっかじゃねえか!

ネタを割れないのが辛い所だが、どうか上の例え話で分かって頂けると幸いだ。ともあれ007ってマンネリじゃねえかと舐めている人にこそ見て欲しい作品ですよ!

文・DIEsuke(@eroerorocknroll)/ステイサムの悩み相談bot狂犬映画ライター・映画タッグ:ビーパワーハードボイルド

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