アートか環境破壊か?大砂漠のド真ん中で地獄絵図 常識を破ったパンクロッカー達

地下にうごめく数々の“アンダーグラウンドなロック・ドキュメンタリー映画”にスポットライトをあてる期間限定の特集上映<UNDERDOCS(アンダードックス)>(9月11日より開催)にて、日本初上映となる、米国の砂漠地帯で行われたライヴイベントを描いたドキュメンタリー映画『デソレーション・センター』が公開される。

YouTube

1983年~1985年にかけて、米国カリフォルニア州の砂漠地帯で行われたライヴイベント「デソレーション・センター」。現代では巨大なイベントとして多くの人を集めるコーチェラ・フェスティバル、ロラパルーザ、バーニングマンなどの原型ともいえるイベントだ。それはアメリカン・パンク/ハードコアの嵐が吹き荒れた南カリフォルニアから発生した。

本作は、その知られざる異様なイベントの誕生の背景を、貴重なフッテージとコーチェラ創設者のゲイリー・トヴァー、ロラパルーザ主催のペリー・ファレル(ジェーンズ・アディクション)、バーニングマン共同創設者のジョン・ローなどの関係者、そしてサーストン・ムーア(SONIC YOUTH) やチャック・ドゥコウスキ(BLACK FLAG)、マイク・ワット(MINUTEMEN)、スージー・ガードナー(L7)などの「デソレーション・センター」出演者や現場にいた人たちの証言と共に描いたドキュメンタリー映画だ。

“歴史的な事件”を目撃することとなる

80年代前半のロサンゼルスは実験精神と反抗精神にあふれた時代。ライヴシーンは小さく、全員が知り合い、奇抜で創造的なアーティストが毎夜ライヴを繰り広げていたが、BLACK FLAGやMINUTEMENといったハードコア系のライヴは警察の取り締まりが激しく、ダリル・ゲイツLAPD署長は執拗に機動隊を送り込むなどパンク/ハードコア系の排除に動いていた(よってダリル・ゲイツは多くの若者たちから「本当に腐った男」と言われていた)。

そんな取り締まりの激しさにライヴ会場の確保が厳しくなる中、オーガナイザーであるスチュワート・スウィージーを中心に、誰にも干渉されずに好きなライヴを見る目的で実施されたイベントが「デソレーション・センター」である。

【バンドメンバーとボランティア以外は有料】 【メディアの報道には一切頼らない】 【広告は出さない】【お騒がせ者はお断り】 【法外な値段で酒を観衆に売らない】【ダンス不要、ニューウェーブのディスコではない】という原則のもと、何もない大砂漠のど真ん中で3回、船上で1回、計4回のイベントが実施された。

出演は、SAVAGE REPUBLIC、MINUTEMEN、SONIC YOUTH、REDD KROSS、EINSTURZENDE NEUBAUTEN、SWANS、MEAT PUPPETS、SURVIVAL RESEARCH LABORATORIESらパンク、ロック、ノイズ、アート入り乱れる壮絶な面々。本作では、そんな異常ともいえるライヴイベントの模様を多くの当事者たちのインタビューと残された貴重なライヴ映像で振り返る。

特にSONIC YOUTHやEINSTURZENDE NEUBAUTENのノイズまみれなライヴ、SURVIVAL RESEARCH LABORATORIESによるアートなのか環境破壊なのかわからない異常行動は地獄絵図といえるだろう。

監督はイベントの発起人であるスチュワート・スウィージー、出演は60名以上の当時その現場にいた猛者たち。本作で人々はこの日本では全く紹介されたことのないイベントが行われていたことに驚愕し、小さくても奇妙・奇抜・奇天烈なこのライヴが如何に現代の音楽シーンに影響を与えているかを感じるだろう。

予告編では、当時のテレビ番組で司会から「パンクはナチスなの?」と問われたBLACK FLAGのチャック・ドゥコウスキが「ナチスは警察のほうだ」と回答。1982年当時、パンク・ロックがブラックパンサーの再来のように危険視されていたことが伝えられる。そして大砂漠の岩山に人が立ち、何かが爆破され、ソニック・ユース、ノイバウテン、レッド・クロスらのライヴ映像の断片が映しだされる。
「危険と生の実感は表裏一体だ」という発言はその模様が完全にアナーキー状態であったことを示唆。いかに革命的な出来事であったかが感じられ、この映画を観ることは歴史的な事件を目撃することと同じである事がわかる内容となっている。

『デソレーション・センター』は、9月11日(金)よりシネマート新宿・シネマート心斎橋で開催されるロック・ドキュメンタリー特集上映映画フェスティバル、UNDERDOCSにて日本初上映となる。
※本作の上映日は、シネマート新宿では9/12(土)・9/14(月)・9/21(月)・9/24(木)・9/27(日)・9/30(水)・10/8(木)、心斎橋では9/12(土)・9/17(木)・9/22(火)・9/25(金)となる。

©2018 MU PRODUCTIONS.

TAGS