暗殺者vs殺し屋『ただ悪より救いたまえ』 タイトルにこめられた意味

暴走する暗殺者と狂暴な殺し屋の運命の対決の結末は一体どうなるのか?ファン・ジョンミンとイ・ジョンジェの「新しき世界」の名コンビが再びタッグを組み、新たな傑作を生み出した。ついに日本に上陸する『ただ悪より救いたまえ』(12月24日公開)は、新型コロナウイルス大流行後の韓国で、あの「新感染 ファイナル・エクスプレス」の続編「新感染半島 ファイナル・ステージ」をも超える動員を果たし大ヒットを記録。世界56各国で公開も決定している。

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本編の80%以上を日本やタイなど海外で撮影し、韓国ノワールとしてかつてないほどの規模で製作された本作は、「チェイサー」「哀しき獣」などで天才的なストーリーテリングの腕を知らしめたホン・ウォンチャンが脚本・監督を務める。世界に次々と韓国ノワールの傑作を送り出し、本作でも暴力描写とスタイリッシュなアクションを見事に融合させたホン・ウォンチャン監督に話を聞いた。

―なぜ本作を作ろうと思ったのでしょうか?構想はいつからあったのでしょうか

10年前に遡るんですが、ある怖い話を聞いたんです。それは、若い夫婦の元から住み込みのベビーシッターと子供と一緒に姿を消し、探してみるとシッターが外国に潜伏し、臓器密売組織と繋がっていたという話です。
この話が衝撃的で、映画の制作会社の代表とこの話をモチーフに映画にしたらどう?と話し始めまして、シナリオも書きはじめました。それが、ちょうど「チェイサー」撮り終え、「哀しき獣」を撮る前ぐらいですね。ただ、その時は演出もするとは思っていませんでした。

―ファン・ジョンミン、イ・ジョンジェのキャスティングについてお聞かせください

まず、インナム役を誰にしようか?という話になりました。インナムは、目的を失いドン底な状態から子供の存在を知ってから覚醒する人物、また、疲れ果てた中年です。その難しい役所を一番上手く表現できる俳優は誰か?と制作会社の代表と話していた所、ファン・ジョンミンさんが思い浮かび真っ先にシナリオを渡しました。本作はある意味アクション映画でもあるのでどうかな?と思ったのですが、快諾してくれて、順調に決まりました。

ファン・ジョンミンさんがビッグキャストなので、レイの方もインナムに負けないキャラクターが必要でした。日本の俳優さんはどうだろう?という話もあったのですが、韓国の観客に馴染みがなくてはいけないのと、映画制作時に日韓関係が難しい時期でもあったので韓国の俳優にしようとなりました。
そこでイ・ジョンジェさんが思い浮かびました。非常にミステリアスで、今までの韓国映画に登場しなかったキャラクターなので沢山のMTGを重ねました。私が思うレイのイメージは「蛇のような人物」となのですが、イ・ジョンジェさんの今までに見せていなかった側面と非常に合っていたましたね。キャスティング自体は順調に進んだと思います。

―主演2人はもちろんですが、ユイ役のパク・ジョンミンさんも強烈です

ユイという登場人物は、10年前に構想を始めてから本作を監督するにあたって、もう一度作品を練り直した時に、一番考えて気を使った大切なキャラクターです。現代的で過去のノワール映画にはなかったキャラクターを作るといったアプローチをしました。男性の体を持ち女性の心を持ったキャラクター、父性と母性の両面を持ち合わせてる人物である必要がありました。

そんな中、バンコクに行ったのにお金がなくて手術が受けられず住み続ける人が多いという話を聞きました。それに舞台がバンコクですし、インナムが見慣れない場所でサバイブをしていくので、現地の協力者が必要になる… そのいくつかの要素からキャラクターの輪郭を作り上げていきました。

―「ジョーカー」級の強烈キャラ・レイはどのように作られたのですか?

レイのセリフは極力少なくしました。自分のことを語るセリフは非常に少ないです。「子供の頃は獣の解体業だった」「父親から虐待されていた」しか出てきません。レイのキャラクターを理解するのもインナムの日本の協力者の電話でいうセリフ「死ぬまで食らいつく偏執症だ」しかありません。

これは意図的です。観客にレイというキャラクターをあえて説明しない、理解してもらおうとは思いませんでした。人を殺す動機さえ分からない、何を考えているか理解できない行動をする事が一番恐怖を感じると思うからです。

―アクションも大きな見所ですが、観客に特に見て欲しいシーンはありますか?

この映画で一番大事にしたのはトーンでした。リアルに見えるアクション、どのアクションシーンも心血注いで作りました。例えば、殴り合うシーンは実際に拳で殴って撮影したのですが、ゆっくり巻き戻しても殴られてるように見えるアクションになっています。殴られてる生々しさを見せられるように、これまでになかった撮影技法を試してみました。

特に観て欲しいのは、初めてキャラクターを紹介するアクションです。
インナムがコレエダを殺すシーン。活劇アクションっぽいですが、この映画のアクションのトンマナを説明する重要な意味がありました。
レイはタイで現地のゴロツキを皆殺しにするシーンですね。それまではレイはどんな奴か?具体的に見せてなかったのですが、危険な男というのを強烈に見せつけるアクションになっています。

また、この映画には死がメタファーとして随所に散りばめられています。例えばインナムがパナマの話をした時に見た絵をよく見てみてください。レイにも常に死の影はつきまとっていました。

―タイトルに込めた意味は?

インナムにとっての救いは子供を救って自分が救われるというタイトルと直接的に関連がありますよね。レイにとっての救いはインナムを追う、殺しに行くことによって救われる所もあったとは思います。

このタイトルに込めたかった意味は「悪党が属しているこの世界こそが絶対悪である」ということです。

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