本当の暴力を見せてやる 自粛など存在しない『ランボー・ラストブラッド』は、自宅の庭に“ベトナムの地獄”を再現した、究極のステイホーム

皆さん、映画足りてますか?
そうですね、足りてませんね。

具体的に言えば、スタローン映画が!

思えば2019年、『クリード2~炎の宿敵~』から始まり、『バックトレース』、『大脱出2~3』が同年公開という年4本スタローン作品公開!という近年稀に見るスタローンバブルであった。

まさに『スタローンを止めるな』と言わんばかりの上映スケジュールに圧倒された年であったが、ファンとしては『いつ日本で公開されるのか?あれは!?』とヤキモキさせるスタローン作品が1本あった。

そう、ランボーシリーズ最終作を銘打ち、2019年9月アメリカ本国で公開された『ランボー・ラストブラッド』である。

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「あといくつ寝るとランボー」と布団に入る前に指折り数える日本のスタローンファン(俺とか)も多かったと思うが、いよいよ本国の公開から9カ月遅れて2020年!

ここ日本にて6/26(金)、遂に公開される!

・・・という訳で、「帰ってくる!あの一人軍隊が!」とファンを布団からヘッドスプリングで起こす映画『ランボー・ラストブラッド』を御紹介しようと思います。

前作『最後の戦場』にて本能のままミャンマーで荒ぶった結果、スッキリして実家に帰省したランボー。

あれから10年。

実家のお手伝いのオバさんと、その孫娘ガブリエラ、そして馬に囲まれ、牧場を運営する平穏な日々を送っていた。

あのランボーが!!である。

第一作では保安官とマトモに口をきけなかったコミュ力ゼロっぷりは過去の話だ。

ファンとしてはランボーの社会的な成長に思わず親目線で目頭が熱くなるものの、ヒマ潰しで掘った庭のトンネルにたまに引きこもる、ガブリエラに自作のペーパーナイフをプレゼントする、未だにベトナムの光景がフラッシュバックするなど…完全に日常には馴染めないズレをランボーは抱えていた。

まあ人生の大半を戦場で過ごした男なのだから無理もない。

それでもなんやかんや平和に暮らしていたランボーの元へ唐突に事件が舞い込んでくる。

なんと娘のように可愛がっていたガブリエラがロクデナシの父親を訪ねて無法地帯のメキシコへ入国、その後消息を絶っていたのだ。矢も楯もたまらず、メキシコへガブリエラを探しに行くランボー。どうやらガブリエラは地元の人身売買組織に拉致されたらしい。
早速話をつけに行くランボーであったが、よせばいいのに人身売買組織はランボーを徹底的にリンチ!
そこでトドメを刺せば良かったものの、舐めプをかましてランボーを放置してしまうのだった。

そう、彼らは愚かにも知らなかったのだ。ランボーが歴戦の戦士であるのを。

なんなら他国の軍隊を2~3個壊滅させるのは朝飯前だった過去を。

いよいよ目にかつての殺気が戻っていくランボー。

敵は情け無用の人身売買組織。

果たして奴らの手からガブリエラを奪還できるのか?

今、ランボーの怒りの老後が始まるのであった。

本作のキャッチコピーは『家族への愛を貫くための最後の戦い』

奇しくも劇中、パイプ、ナイフ、弓矢で貫いていく。
もちろん敵の体をな!
言うなれば残虐ファイトの役満状態。

人間を伊藤ハムにしていくスタローンに目を見張ってしまうだろう。  

思わず「やりすぎ!」と声が出そうになるが、冷静になればスタローンが今まで悪党に「やりすぎゼロ」なんて事はなかったので、そこはOKだ!

本作の作風は、とにかく武骨。

洗練やらオシャレさなんて言葉には縁が遠い。

スタローンが荒削りな石で観てるコチラをガツンガツン殴りつけるような作品である。

「韓国映画ばりに情け容赦のない展開をランボーでやったら、こうなりました!」

と言いたくなるほどに凡百のハリウッド製アクション映画にはないド迫力に満ちている。

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前半は「戦いにしか居場所を見つけられなかったランボーが、やっと小さな幸せを得られたんだなあ…」とシリーズを追ってきたファンをシンミリさせてくれる。

そして、外道どもを始末するために怒りのDIYを始めるランボーにワクワクするのだが、いざ蓋を開けてみると開いた口が塞がらない壮絶な地獄絵図が展開!

確かに現代的な装備のマフィアメンバーをアナログなブービートラップや武装で次々と叩き潰していく痛快さがあるが、それはそれとして「お釣りが出るほどのオーバーキル」としか言いようのないランボー殺法がマフィア相手に炸裂するのだった。

いくら過去とはいえ各国の軍隊を壊滅に追い込んだ戦力(ていうかランボー)が、たかだか20人弱のヤーさんに集中するのだ。

こうなるだろうなあ・・・とコチラも納得するしかない。

冒頭は年相応にニンニク卵黄的な薬を飲んでいるランボーだが、戦いが始まってからはド忘れ(設定をド忘れするのはスタローン作品では定番だ!いい意味で)!

「暴力こそが健康に良い」といわんばかりに元気ハツラツで暴力を振るっていく。

ひたすら人の悲鳴がこだまするラストバトルは必見だ。

今まで暴力的と揶揄されてきたランボーシリーズ。

「じゃあ本当の暴力を見せてやる!」と、スタローン自身が奮起した感のあった『ランボー/最後の戦場』と同様、本作『ラストブラッド』においても剥き出しの暴力が画面狭しと繰り広げられる。

敵は外道としか言いようのないマフィアなので、『どんなに殴っても問題ないだろう!』と思わせてくれるが、本作で行使される暴力の凄まじさは観客すら二の句を継げなくなる。

おかげさまでトンネルに入って五分でランボーのトラップにドン引きするマフィアのボスだが、もうホラー映画の被害者さながらとしかいいようない表情になるのだった。

ロン毛およびハチマキ、上半身裸でマシンガンを乱射・・・

思えば、そんなイメージで過去に数多の模倣アクション映画やパロディ映画が生み出されたランボーシリーズだが、本作は安易に真似させない(むしろ出来ない)作りだ。

スタローン自身に並々ならぬ気合が入っているのが伺える。

もう泣いていいのか戦慄すればいいのか判断に困るほどに、作品の針がゼロヨンのレースばりに振り切っているのも本作の特徴だ。

70歳代で、ここまで尖りまくった映画を作れるスタローンの凄みに震えてしまうだろう。

単純な『80年代のヒーローアイコン』という言葉では片付けられない、情け無用の修羅と化すランボーは必見です。

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自宅の庭にベトナムの地獄を再現した、究極のステイホーム(主に人が死にまくる)が描かれる本作。

自粛を叫ばれる昨今だが、ランボーの辞書に自粛なんて文字は存在しない

去年、某DC映画が劇薬と評されていたが、本作こそ映画という名の劇薬だ。

自粛明けに観たら、尻子玉を抜かれる映画であろう。

ましてや4DXで上映してごらんなさい。

あまりの迫力に死人が出るかもしれん。

中には「嫌ねえ、まだ続けんのかよ、ランボー」なんて揶揄する人もいるだろうが、そういう方には「死が迫っているのを教えてやりたい」と本作のランボーのセリフを送りつけたくなる。

ともあれ人々の気が滅入る状況が続く日本だが、 自粛明けに観るにはうってつけの映画である。

寝起きでレッドブルを一気飲みするようなもんだが、まあ景気づけには丁度いいじゃない!!

今思うと待たされた甲斐があったとしか言いようがないほどに、ランボーが訳も分からない元気を与えてくれるだろう。

果たしてランボーが最後に血を流すのは何のためなのか・・・

是非、彼の生き様を劇場で見届けてほしい。

©︎2019 RAMBO V PRODUCTIONS, INC.

文・DIEsuke(@eroerorocknroll)/ステイサムの悩み相談bot狂犬映画ライター・映画タッグ:ビーパワーハードボイルド

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