いま、最も佐々木希に観て欲しい 女スパイのありのままの殺戮一代記 『ANNA/アナ』

どうせ映画を観るなら、一粒で三度美味しい作品が観たい!
…というワガママなボーイ&ガールの要望に応える映画が6月5日(金)に公開された!

それがシャカリキ女スパイの殺戮一代記を描いた作品『ANNA/アナ』である。

キノフィルムズ/YouTube

どんな映画なのよ?と言われれば、矢沢あいの「パラダイスキス」が始まったと思っていたら、気が付くと広江礼威の「ブラックラグーン」、さいとうたかをの「ゴルゴ13」が始まっていた!

そんな映画である。
…いや、どんな映画だよ!?
全然説明になってねえので、改めてあらすじを紹介しようと思います。

時は1980年代のソ連。
天涯孤独のアナはビリギャルとしてドン底の生活を送っていた。
今日も今日とて無軌道な彼氏に振り回されボロボロになりながら帰宅するアナであったが、なんと、そこには怪しいルーク・エヴァンス(以後ルクエヴァ)が!
帰宅即ルクエヴァという事態に動揺するアナであったが、彼からソ連の情報機関への転職を持ち掛けられる。
曰く、与えられた期間を越えれば自由が与えられる、という。
限りなく胡散臭い話に一旦は断るアナであったが、まあ今よりはマシだろう!と判断しルクエヴァの提案を飲むのであった。
結果、 泣く子も黙るKGBの女傑ヘレン・ミレンの無茶ぶり試験を突破し、 いつしか筋金入りの暗殺者に成長したアナ。
スタイルがグンバツ(死語)なアナを「これはファッションモデルとしても行けるで!」と判断したヘレン姐さんはヨーロッパへの潜入を命ずるのであった。

こうして表の顔はファッションモデル、裏の顔はゴリゴリの暗殺者として生活するアナであったが。この温度差の激しい二重生活を送れば送るほど「果たして自分は自由を得られるのか」?という疑問が頭をもたげていく。
そんなある日、まんまとCIAエージェントのキリアン・マーフィーにハメられてしまうアナ。
定石通り、死にたくなければCIAのスパイとしても動けと脅迫されてしまう。
「OK!死ぬわ!」と即答するアナであったが、これまたキリアンから「やればワイハで自由な生活を保障するぜ!」と持ち掛けられる。
「おまえ、これルクエヴァと同じパターンじゃねえか…」と思いつつ、二重スパイという面倒くさい身分を受け入れるアナ。
だが、いつしか「このままだと『ありのままに~let it go~』を心の底から歌えねえ!」と決断!

CIAとKGBを相手に、生き残りと自らの自由を賭け大勝負に打って出るのであった。

ベッソンで女暗殺者と聞くと「オマエ…これニキータじゃねえか!」という声もあるかもしれん。『レッドスパロー』や『アトミックブロンド』など女スパイ物の映画が公開された昨今。
ともすれば3番煎じじゃねえかと言われるかもしれんが、何せ元祖ともいえる『ニキータ』を撮ったリュック・ベッソンだ。
後付け感がゼロではないが、スパイ物だと渋滞しがちな話の展開もスッキリ交通整理!
更には本作で主人公に抜擢されたサッシャ・ルスの周りをルーク・エヴァンス、キリアン・マーフィー、ヘレン・ミレンで固め、盤石の布陣で固めている。

「女暗殺者といえば俺のお株だ!」という気持ちがベッソンにあったかどうかはサッパリ分からないが、意地と気合を感じる作品である。

かつては件の『ニキータ』、『グランブルー』、『レオン』という作品のおかげでオシャレマザーファッカーが(俺の半径5m以内で)シネフィル気取りで得意げに語っていた時代もあったが、気が付けば牛丼のような作品を作る庶民派激安路線にシフトしていたリュック・ベッソン。
最近だと話が風呂敷どころかペルシャ絨毯ばりに広がったスカーレット・ヨハンソンの『LUCY』、ベッソン流スターウォーズ『ヴァレリアン~千の惑星の救世主~』など、良かれ悪かれ俺流を貫いてきた。
正直、出演したキャストに手を出しまくるスケベ親父のイメージがあったが、本作を見れば改めてタダのスケベ親父ではなかったと思わせてくれる。

主演はロシアのスーパーモデル、サッシャ・ルス。
ベッソン作品の『ヴァレリアン~千の惑星の救世主~』にもスキンヘッドの宇宙人として言われなければ気づかないビジュアルで出演していた彼女だが、なんと出演二作目にして本作では主演デビュー!
最初は自らの境遇を泣きながら嘆くだけであったが、一発逆転を狙い女スパイとして成長していくアナを堂々と好演している。
特にヘレン・ミレンの無茶ぶりから端を発する殺人レストランシーンは必見だ。
まさに「ちょっと待ってよ、失恋レストラン」ならぬ、「ちょっと待ってよ、殺人レストラン」状態。
おかげさまで殺戮おもてなしフルコースを披露するアナ!
なりふり構わず生き残ろうとする荒々しさに溢れているシーンだ。

キノフィルムズ/YouTube

主演デビューにして随分とカロリーの高い映画に出たものだなあ!サッシャ・ルス!と思わず感心してしまうだろう。
他にもガーターベルト丸出しでスタントをこなすシーンがあるのだが、必死さも相まって鼻を伸ばすよりカッケエ!という言葉が頭に浮かんでしまう。
こうした格闘能力や銃撃能力もさることながら、ハニートラップも躊躇なく実行!偽装の意味で表では同性の恋人も作り、更にはKGBとCIAのルクエヴァとキリアンマーフィーを手玉に取り、三角関係ならぬ四角関係すら平気で構築する。
この女、ゴルゴ13ぶりが実に痺れる。
劇中、常に2つの選択肢を上から提示されるアナだが、自力で3つ目の選択肢を作っていくタフさと抜け目のなさは、性別関係なく学んでいきたい姿勢だ。

勿論、脇役達の演技も見逃せない。
良い意味で『胡散臭い役をやらせたら絵になるイギリスとアメリカの二大巨頭』=ルーク・エヴァンスとキリアン・マーフィー。

どちらも最初は余裕しゃくしゃくな態度で登場するものの、アナにグイグイ来られて断り切れない演技を本作では見せてくれるのだが、個人的には他人事には思えない。
皆さんも身に覚えあるでしょ?断り切れなかった瞬間が。
そうか!俺だけか!

だが何と言ってもMVPは、『トップ・オブ・姐御』ことヘレン・ミレンだ。個人的に『タフなババアが出る映画に駄作は無い』という定説があるのだが、本作も御多分に漏れず、筋金入りのKGBを演じているヘレンさん 。

タバコ片手にアナへ非情なミッションを下していくヘレンさんだが、実に堂に入っている理想のババアぶりを披露!特に現場へ乗り込み「KGBを舐めるな」というセリフを放つシーンは今年の最優秀ババア賞をあげたくなった。何なら、この人で一本撮ってくれまいかとさえ思ってしまう。
この強敵をアナがどう攻略するのかも見どころの一つだ。

今までアナといえば雪の女王と相場が決まっていたが、アナとKGBの女王(ヘレン・ミレン)の様相を呈している本作。

描き方は違うかもしれんがヒロインが『ありのまま~let it go~』を追求する意味では同じだ!こっちは人が死んでるとしてもだ!

気になる方は、是非、アナの生きる道に劇場でブッ飛ばされて欲しい。
ともあれ今、最も佐々木希に観て欲しい映画である。

文・DIEsuke(@eroerorocknroll)/ステイサムの悩み相談bot狂犬映画ライター・映画タッグ:ビーパワーハードボイルド

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