ファイト・クラブ、12モンキーズ… ブラッド・ピット “イカれた”キャラBEST5

これまで様々な作品で、異なる魅力を披露してきた名優、ブラッド・ピット。大ヒット公開中の『アド・アストラ』も複雑なキャラクターを演じ各方面から絶賛されている。
そんなブラッド・ピットが演じてきた役のなかで、とりわけ映画ファンの心に刻まれているのは、“カッコ良くてイカれた”キャラだろう。特に印象に残る5つのキャラクターを編集部で選出した。

『12モンキーズ』(1995)

“キレすぎなテロリスト”ジェフリー・ゴインズ

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この映画で主人公のジェームズ・コールを演じたブルース・ウィリス以上に独特な存在感を示すことになったのが、ブラッド・ピット演じるジェフリー・ゴインズだ。

タイムスリップしてきたコールと精神病院で出会った彼は、最初から落ち着きのない挙動で意味不明な内容をまくし立てるという人物で、それは後の時間軸で動物愛護を訴える謎の集団<12モンキーズ>を率いるようになってからも変わらず、仲間さえもが「アイツはマジにキレてる」とあきれる始末。結局、彼や<12モンキーズ>自体はバイオテロを引き起こしはしなかったが、独特なサイコ感漂うキャラクターは、多くの人々の心に鮮明に刻み込まれることになった。

『ファイト・クラブ』(1999)

“謎の男”タイラー・ダーデン

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この映画でブラッド・ピットが演じたのは、エドワード・ノートン演じる冴えないサラリーマンの<僕>を地下格闘技の世界へと誘い、やがてはそこに集う人々を組織して、恐るべきグループを作り上げる怪人系キャラ、タイラー・ダーデン。

常に不敵な笑みを浮かべ、ジョークまじりの明るいトークで人々を惹きつける彼は、ドSとドMが入り混じったかなり強烈な内面性を持つ人物で、ウエイターのバイト中に客の料理に小便を入れるという子供じみたイタズラをしたかと思えば、いきなり<僕>の手を押さえつけて大火傷を負わせたり、運転中にハンドルから手を離して交通事故を引き起こしてギリギリで命をつなぎとめると「やったぜ! これが生の歓びだな!」と高笑いをしたり、かなり危険な匂いのする人物として描かれている。ブラッド・ピットが演じた歴代の役柄のなかでも、とりわけその危険度が高いキャラといえそうだ。

『ジャッキー・コーガン』(2012)

“ビジネスライクな処刑マシン”ジャッキー・コーガン

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アンドリュー・ドミニク監督の映画『ジャッキー・コーガン』では、殺し屋のジャッキー・コーガンを演じている。

彼は地下賭博場を襲って金を強奪した2人組のチンピラに落とし前をつけさせるため雇われるが、その方法がかなり壮絶。あくまでビジネスに徹して、合理的かつ円滑に物事を進めようとするタイプの彼は、犯人であるチンピラをはじめ、事件に関係した人々を次々に処刑していく。その手際の良さには目を見張るものがある。自らの稼業をビジネスであると認識している彼が処刑を事務的に粛々と進めていく点が、かえって独特な凄みを増幅させている。その人物像はまさに処刑マシンともいうべきもの。最終盤で彼が、正当な報酬が得られないことに腹を立てて口にした「アメリカは国じゃない。ビジネスだ」という言葉は実に印象的である。

『イングロリアス・バスターズ』(2009)

“残忍系指揮官”アルド・レイン中尉

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クエンティン・タランティーノ監督の作品でブラッド・ピットが演じたのは、ユダヤ系アメリカ人8名で編成された米軍特殊部隊を率いるアルド・レイン中尉。

しかしこの中尉がなかなか壮絶なキャラクターになっており、ドイツ軍占領下のフランスに潜入して部下にバットのフルスイングでドイツ兵を撲殺させたり、死んだナチの頭部の皮をナイフで剥ぎ取ったりと、その冷酷で残忍な“処刑”スタイルが特徴なのだ。なお、彼は処刑せずに放逐するドイツ兵たちの額に、ナイフでハーケンクロイツを刻み込むことを習慣としているが、その際は怯えながら悲鳴を上げる兵士の顔を、なんとも嬉しそうな笑顔を浮かべて覗き込んでいる。こうした残忍極まりない彼の人物像は、同じ軍人ながら『フューリー』(2014年)で演じたドン・“ウォーダディー”・コリアーとはまったく違うタイプなのが実に興味深いところだ。

『カリフォルニア』(1993)

“ムショ帰りの荒くれ者”アーリー

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ブラッド・ピットが演じたのは、刑務所帰りの荒くれ者、アーリー・グレイス。彼とその恋人であるアデールは、デイヴィッド・ドゥカヴニー演じるルポライター、ブライアンとその恋人で写真家のキャリーが募集したカリフォルニアへの“交通費折半旅行”に参加するが、そもそも払う旅費など持っていないアーリーは、いきなりトレーラーの大家を惨殺。立ち寄ったガソリンスタンドでもセレブ男性を殺害して金を奪うという、むちゃくちゃな方法でブライアンたちとの旅を続ける。

その後、ブライアン&キャリーに素性を知られてしまったアーリーは、彼らを監禁しながら目的地を目指すが、どんどん追い詰められていき、結局はアーリーとは対照的な常識人であったはずのブライアンに殺害されてしまうという運命を遂げる。行き当たりばったりで絶えず自分の欲求を満たし、そのためには容赦なく人を殺すというその明らかに頭のネジがぶっ飛んでしまったような人間性は、ブラピが演じた役柄のなかでも、とりわけ目を引く残忍さと粗暴さが垣間見れるキャラクターだといえるだろう。

これまで様々な“カッコいいイカれたキャラ”を好演してきたブラッド・ピットだが、そうした魅力が遺憾なく発揮され、観客たちの印象に残るのは、卓越した彼の演技力はもちろんのこと、ほかの作品で演じてきたキャラクターとのギャップが、実に良い形で機能したからであるともいえる。

『セブン』(1995)で演じた悲運の若手刑事ミルズや、『オーシャンズ11』(2011)の“デキる”名参謀ライアン、さらには『ワールド・ウォー Z』(2013)の“自己犠牲を厭わぬ良きパパ”ジェリーや、IRAのテロリストでありながらも優しい心と正義感に葛藤する『デビル』(1997)のローリーとも違う、そんな彼の“別の顔”に今後も多くの観客たちからのアツい視線が注がれるだろう。

20th Century Fox/YouTube

9月20日より、ブラッド・ピット製作・主演の最新作『アド・アストラ』が公開中。リアルな宇宙描写や、親子の絆を軸とする深遠な人間ドラマが話題の本作は、“ブラッド・ピット史上最高の演技”とも言われ、世界中のメディアから大絶賛を受けている。

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