絵の具の混ざり具合をデジタルで再現『Adobe Fresco』

Adobe Fresco』はタブレットで絵の具を使ったアナログ感覚の作画が楽しめるAdobeのペイントアプリだ。

Frescoは他のペイントアプリ同様、使いたいブラシと色を選んで絵を描くアプリだが、最大の特徴は独自の「ライブブラシ」機能にある。このライブブラシには油彩と水彩の2種類があり、油絵と水彩画に似た表現をデジタルで出すことができるのだ。

Adobe Creative Cloud/YouTube

たとえば、現実世界でキャンバスに油絵の具を乗せると、絵の具はすぐには乾かず、その上にさらに別の色を重ねて違う色を作ったり、色のグラデーションを生み出したりすることができる。Frescoのライブブラシは、Adobe Senseiによる人工知能と機械学習技術を使い、デジタルでこの絵の具の混ざり具合を再現する。

ライブブラシは色の設定をはじめ、ブラシサイズや筆に乗せる絵の具の量を設定して描く。水彩のライブブラシでは、これに加え、筆に含ませる水の量を調節することが可能だ。水分量を多めに設定したブラシでキャンバスを塗ると絵の具の色がじわっと周囲に広がり、前に描いた絵と接する部分から色が混ざって、水彩独特の表現ができる。絵の具は乗せず、水だけを含ませ、絵の色を滲ませるといった使い方もできる。現実では油彩も水彩も時間が経つと絵の具が乾いて他の色を混ぜることはできなくなるが、Frescoアプリではそうした制約もない。

実際にFrescoのライブブラシを試してみたところ、水彩の色の広がり方や滲み具合はとても自然で、本物に近いように感じた。また、現実だとパレットで絵の具を混ぜて好みの色を作る必要があるが、アプリだとその手間もかからないし、間違った色を乗せても好きなだけやり直しがきく安心感がある。Frescoはアナログで描く時のストレスを軽減しつつも、絵の具で描く楽しさをそのまま受け継いだアプリになっているように感じた。Adobeが出している他のPhotoshopやIllustratorといった描画ツールと比べると使える機能にはいくらか制限があるが、気軽にアナログ感覚のお絵かきを楽しみたいという人にFrescoはぴったりだろう。

『Adobe Fresco』は無料で使え、Apple iPadとMicrosoft Surfaceに対応している。Frescoの使い方を説明しているチュートリアル動画がいくつか用意されているので、絵を描く時の参考にしてみるといいかもしれない。

文・大熊希美

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