戦場のリアルさは、ワンカット映像だけではない『1917 命をかけた伝令』

大ヒット公開中のサム・メンデス監督最新作『1917 命をかけた伝令』より、ゼロから制作されたリアルな塹壕のセットにフォーカスした特別映像が解禁となった。

ユニバーサル・ピクチャーズ公式/YouTube

本年度ゴールデングローブ賞で作品賞(ドラマ部門)&監督賞(サム・メンデス)の主要2部門を受賞、英国アカデミー賞では作品賞を含む最多7冠を獲得、さらにアカデミー賞では撮影賞(撮影監督ロジャー・ディーキンス)&視覚効果賞&録音賞の技術3部門を受賞するなど、世界の映画賞を席捲中の本作。

サム・メンデス監督が、若き兵士たちが困難なミッションに立ち向かう姿を臨場感たっぷりに、さらに観る人たちを物語への究極の没入感へ導き、登場人物たちの行動や心情を体感してもらうために“ワンカット映像”という画期的な撮影方法を全編に採用している。

全編を途切れることなくひとつながりの映像で見せる【ワンシーン ワンカット】は、登場人物の感情や臨場感を表現する“長回し”として多くの監督がその手法を取り入れてきた。監督によると「完璧に途切れなく物語を描くために、全てにおいて秒単位まで計算されるなど緻密な調整をした。特にリハーサルについては、今までの過去のどの作品よりも時間を費やした。自身のキャリアにおいて、最もエキサイティングな仕事だった」と語っている。

サム・メンデス監督が、「リアルタイムで描くと決めていた。足音や息遣いまで一挙手一投足を捉えるためだ」と映像の冒頭で明かすように、観客に若き兵士の壮絶な挑戦を臨場感たっぷりに体感させるためとことんリアルな映像を追求した本作だが、そのこだわりは、ワンカット映像だけでなく物語が展開する美術セットの面でも大いに反映された。

特に美術チームの骨を折る作業となったのは、主人公のスコフィールドやブレイクが、全編通して歩き回る長い塹壕だ。たくさんの兵士たちで溢れかえり、最前線に進むにつれて壮絶な戦いの場へと空気を変えていく冒頭の移動のストロークから、ベネディクト・カンバーバッチ演じるマッケンジー大佐やコリン・ファース演じるエリンモア将軍が待機する内部の美術や、敵であるドイツ軍の塹壕に至るまで、トータルで数キロにも及ぶすべての塹壕のセットを、美術チームの力とその人の手によって、広大な屋外の敷地にゼロから制作されたという。

『007 スカイフォール』(12)や『ブレードランナー 2049』(17)でもプロダクション・デザインを担当したデニス・ガスナーは「大変な作業量だ。何もない平地でゼロから作り上げたからね」とその苦労を明かす。デニスのもとで塹壕の美術監督を担当し、過去に『美女と野獣』(17)にも参加していたエレイン・クスミシュコは、史実に忠実な塹壕を作ることにこだわったようで「当時、第一次世界大戦は長期間に及ぶ戦争になると考えられていた。でもイギリスは窮地に追い込まれていて、それ対しドイツ軍の塹壕はコンクリート製で膨大な労力がかけられていたの」と自身の分析を明かしており、その塹壕の明らかな違いや、忠実さを求めた美術チームの姿は、本映像のメイキングや、映画本編で窺うことができる。

細部に至るまでの徹底したこだわりは、俳優の演技にも大きな影響を与えたようで、主人公のスコフィールドを演じたジョージ・マッケイは、「塹壕のリアルさに刺激を受けたよ」、ブレイクを演じたディーン=チャールズ・チャップマンは「役と場面に没頭できた」と明かしており、さらにディーンは「塹壕の撮影は屋外だったから雨を遮るものはなかった。大雨が降ってきたときに、ふと大勢のエキストラたちを見ると、彼らは軍服を着たまま、少しでも雨をよけようと小さなメタルの下に密集していた。そのときに“100年前もまさに同じ光景だったんだ”と痛感した」と撮影時のエピソードを明かしている。

「観客が体験できるセットよ。実際に塹壕にいるかのように錯覚する」とこれまでサム・メンデス監督のプロダクションで様々な作品に参加してきた製作のピッパ・ハリスが自信を覗かせるように、ワンカット映像による撮影のみならず、美術の細部に至るまでこだわりが詰まっている。

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